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更新:2024年03月18日
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第44回高等学校卒業証書授与式
更新:2024年03月02日
2024年3月2日(土)第44回高等学校卒業証書授与式が行われ、男子385名、女子187名、計572名が卒業しました。
【学校長式辞】
第44回高等学校卒業証書授与式校長式辞 令和6年3月2日
44期生の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんはどのような思いで今この時を迎えているのでしょうか。皆さんが入学した頃は、まだコロナ禍が続いていました。2年生になっても少しずつ数は減ってきたものの完全に収束というわけにはいきませんでした。ようやく3年生になってからコロナ以前の生活が戻ってきた、というのが皆さんの高校生活3年間の実態ではないかと思います。
入学式で三つの教育目標について皆さんにお話したことを覚えているでしょうか。私自身、小学校や中学校、高校の校長先生が入学式や卒業式で何を話したのかを覚えていないという恥ずかしい経験から大事なことは手を替え品を替え、つまり言葉を替えて生徒たちに伝えていこうと思っていました。皆さんの3年間においてもあらゆる機会をとらえて、三つの教育目標に関わる話をしてきたつもりです。しつこいのを承知の上であらためて三つの教育目標について触れたいと思います。一つ目は「他者との関わりの中で自己を高めていこう」、です。他者とは自分以外の存在であり、この場合は人だけではなく物事も含みます。多くの人や物事に触れる、つまりいろいろな経験を重ねることで自分の世界を拡げていってほしいということです。二つ目は、「失敗を恐れず失敗から学んでいこう」、です。一つ目と因果関係があります。たくさん経験すればするほど、自ずと失敗の数も増えてくるからです。ともすると人は失敗をマイナスのイメージでとらえがちです。失敗したくないとか、失敗するかもしれないからやめておこう、というように。しかし、失敗からしか学べないことがあり、失敗から学んだことは自分の身につくことも確かです。なぜ、失敗から学べたり、その学んだことが将来役に立つのでしょうか。それは、なぜ失敗したのか、どのようにすれば失敗しなかったのか、ということをとことん考えるからではないでしょうか。三つ目は「一生続けられる好きなことを見つけよう」、です。これも、一つ目、二つ目と因果関係がありそうです。経験を重ねれば重ねるほど、失敗を繰り返せば繰り返すほど、最初はおぼろげであった自分のイメージ、自分とはどのような人間なのか、自分の考えはどのようなものか、自分が本当に好きなものは何か、ということが次第にはっきりしてくると思います。そして本当に好きなことが見つかったとすれば、それは一生の宝物になると思います。社会に出れば、いいことばかりではなく、今まで以上に自分を苦しめるマイナスの状況に出会うことも多くあろうかと思います。そのマイナスの状況をなんとか乗りこえるためにも自分にとって本当に好きなことがあるのかどうかは重要です。皆さんの3年間はどうだったでしょうか。いろいろな人や物事と積極的に関わることができたでしょうか。失敗した時にそれを忘れようとせずに向き合うことできたでしょうか。入学時に比べて自分のイメージがはっきりしてきて、一生続けられそうな好きなことが見つかったでしょうか。次のステージに立つ前にこの3年間を振り返ってみてください。
振り返りで大事なことは、考え抜くということです。こういうことがあった、なかった、とか、あのことができた、できなかったという振り返りは単に事実の有無を列挙するだけであり、思い出に浸っているにすぎません。人や物事との関わりから何を学んだのか、学んだことを今後どのように活かしていけばいいのか。人と物事とあまり関われなかったとすれば、その原因は何か。どのようにすれば関われるようになれるのか。なぜ失敗してしまったのか。どのようにすれば失敗しなかったのか。失敗から学んだことは何か。自己イメージはどのような形で明確になってきたのか。思ったほど明確になっていないとすればその原因は何か。一生続けれられる好きなことを今後の人生においてどのような形で活かしていくのか、つまり仕事としてか、趣味としてなのか。一生続けられる好きなことが見つからなかったとしたら、それはどうしてか。どのようにすれば見つかるのか...等々。疑問文を続けてみました。それは疑問を持つことが最も自然に考えることにつながり、疑問を持てば持つほど考え抜くことが可能になるからです。
今年は能登半島地震から始まりました。大切な人や家や職を失った人たち、かけがえのない夢や希望や生きがいを失った人たち。物質的、精神的な喪失は現在進行形であり終わりや解決を見出すことができないのが現状です。そのような被災者の人たちに支援金や支援物資を送ったり現地に入ってボランティア活動するなど物質的な援助をすることはもちろん大切なことですが、地震があったということ、被災者が多数出たという状況を忘れずに心や頭の片隅でもいいから気にかけ続けていくことも必要かと思います。
グローバル化や気候変動にともなって世界各地ではさまざまな争いや災害が起こっています。どれも簡単には解決できない複雑な事態です。そこにはさまざまな要因が複雑に絡み合っています。複雑だからわかりにくい、わからないままでいると不安やイライラがつのるから、無理に単純化したり自分とは関係のないものと見なしてしまいます。いいか悪いか、味方か敵かというような二項対立で複雑な事態をとらえていくことで、ますます無関心や分断が深まってしまいます。グローバル化や気候変動が進むこれからの社会に必要ことは、複雑さをなるべくそのままの形で見ていくことです。そのためには、それについてのなるべく正しい知識や情報をもとに、どのような要素がどのように絡まっているのか、なぜ絡まってしまったのか、絡まりを解消するためには何が必要なのか等々を考え抜くことだと思います。単純化してわかったつもりになることの危険を自覚することだと思います。そのための前提として、また、自らの次のステージを豊かにするためにも、自分の経験や失敗の意義を確認し、一生続けられる好きなことを見つけるための新たな経験や失敗に果敢にチャレンジしてほしいと思っています。
最後となりましたが、列席いただいた保護者の皆様、リモートで視聴されているご家族の皆様とともに44期生の卒業を祝えたこと、また、3年間にわたって、物心両面のご協力をいただけたことに教職員を代表して感謝申し上げます。これをもちまして校長の式辞とさせていただきます。
【卒業生挨拶】
頬を伝わる風はまだ冷たいですが、あふれんばかりの美しい陽射しは暖かくなってきました。爽やかに漂う梅の香りに季節の移ろいを感じる今日、私達は桐光学園高等学校を卒業します。本日、私達のために、素敵な場を用意して下さった先生方、学校関係の方々に感謝申し上げます。また、お忙しい中参列して下さっている来賓・保護者の方々、そして、配信で見守って下さっている御家族・ご親族の皆様に、お礼申し上げたいと思います。
私達の高校生活を振り返ると、本当に様々なことが起こった、激動の3年間であったと感じます。模擬店が縁日に変わった輝緑祭、留学生の方々との交流へ変貌を遂げたスキースクール、行き先がカナダから京都になった修学旅行。コロナウイルスの感染拡大に伴い、姿を変えた行事の数々は、とても新鮮で、良い刺激になりました。コロナがなければ経験できない貴重な体験をしたと思います。当時は辛いと思った瞬間があったかもしれませんが、振り返ると、一生誇れる、輝かしい思い出になっているのではないでしょうか。
そして、そんな何気ない日常をかけがえのない思い出に変えてくれた同級生のみんなに、心から、ありがとう、を伝えたいと思います。何でもない毎日がどれだけ色鮮やかなものだったか、それを作ってくれているのは周りのみんなだったことを、この2か月間、受験で学校が休みになって痛感しました。この、幸せな今があるためには、僕ら全員が不可欠だったと、確信しています。みんなと出会えて本当に幸せです。
さて、卒業生の明るい未来を祈念して、みんなで声を出して〆させていただきたいと思います。私が「We are?」と言ったら、「TOKO!」でお願いします。会場の皆様も、配信をご覧の皆様もお願いします。それではいきます。「We are?」
令和6年3月2日 第44期卒業生代表 3年4組 高松弘喜